若手口腔外科医国内研修支援制度の研修生が来雲され研修されました

2025年10月11日

九州歯科大学口腔内科学分野大学院生の袁荊と申します。2025年9月29日から10月10日までの二週間、島根大学医学部附属病院歯科口腔外科において臨床研修を行いました。本研修では、多様かつ高度な症例に触れる貴重な機会を得て、臨床的視野を大きく広げることができました。
手術室では、下顎枝矢状分割術、Le Fort I型骨切り術、頸部郭清術、尺側前腕皮弁による再建術など、大学院でのこれまでの経験を活かしつつ、より高難度な症例に参加することができました。特に、上顎三分割骨切り術や眼窩底骨折整復術など、これまで実際に立ち会う機会のなかった手術を間近で見学・補助できたことは、非常に貴重な経験となりました。これらの症例を通じて、手術手技のみならず、術中のチームワークや術者と助手の連携の重要性など、実践的な学びを多く得ることができました。さらに、再建手術における血管吻合のマイクロサージャリー技術や皮弁の色調観察など、生命維持に直結する繊細な手技にも触れ、口腔外科の奥深さを改めて実感しました。
外来診療では、悪性腫瘍術後の経過観察、顎変形症術後のゴム掛け指導、生活指導、外傷患者への応急処置など、幅広い診療に携わりました。特に、患者一人ひとりに寄り添う説明や、術後の生活を見据えたきめ細やかな指導を拝見し、単に技術を提供するだけでなく「患者の人生に寄り添う医療」の大切さを改めて痛感しました。また、診療中に若手医師や研修医が互いに意見を交換し、上級医がその場で指導を行う教育体制にも深い感銘を受けました。医局全体に流れる温かくも厳格な雰囲気が、患者中心の医療を支えていると感じました。
さらに、学生の症例発表会および医局員の学会発表予演会にも参加し、教育・研究の両面における医局の真摯な姿勢を学びました。発表者同士が互いに意見を交わし合い、指導医が的確に助言を行う場面から、学術的討論の重要性を再認識しました。特に、研究内容に対して質問を受けた際の論理的な説明力やスライド構成の工夫など、今後自らが学会発表を行う上で大いに参考となりました。また、インドからの留学生と英語で症例や治療法について議論する機会もあり、国際的視野を広げるとともに、自身の英語による臨床的コミュニケーション能力を高めるきっかけとなりました。
今回の研修を通じ、島根大学の先生方の卓越した技術力、組織としての連携の緻密さ、教育への熱意、そして何よりも「患者第一」の姿勢に深く感銘を受けました。同時に、自分自身の知識・技術の未熟さを痛感し、今後さらに研鑽を積む必要性を強く認識しました。
今後は、本研修で得た知識と経験を糧として、臨床・教育・研究の三つの柱をバランスよく発展させ、口腔外科医としての総合的能力を高めていきたいと考えています。そして将来的には、より安全で機能的、かつ審美的な手術を提供できるよう精進し、学術的活動を通じて日本の口腔外科の発展に貢献したいと考えています。

九州歯科大学大学院歯学研究科 口腔内科学分野 袁 荊

2025年9月29日から10月10日までの2週間にわたり、九州歯科大学 口腔内科学分野 (吉岡泉教授)/口腔顎顔面外科学分野(土生学教授)の教室より、袁 荊先生が日本口腔外科学会若手口腔外科医研修制度を利用されわれわれの診療科に研修に来られました。大変臨床および研究に熱心に取り組まれる若手女性口腔外科医であり、前傾姿勢で臨まれ将来が大変楽しみな先生でありました。わたくしの母校の後輩でもあり、今後も研鑽を積まれ着実にステップアップしてくださることを願います。2週間お疲れ様でした。

教授 管野貴浩

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